マインドフルネスと脳の関係

マインドフルでない状態というのは、「心ここにあらず」の状態のことです。私たちの心はなかなか「今」を「あるがまま」に見ることが難しく、つい未来のことを不安に思ったり、過去のことを後悔したり、目の前の欲にとらわれたりしてしまいます。この状態は「マインドワンダリング」と呼ばれており、一説によれば、脳は日常生活の約50%を、目の前のこと以外に費やしていると言われています。

なぜ人がこのような状態になってしまうのかを理解するために、まずは人間の脳の構造について理解しておきましょう。一般的に、脳は体の司令塔と言われることが多いですが、大きく分けると、図1-1のように、「大脳新皮質(人間脳)」と「大脳辺縁系(動物脳)」「脳幹」に分けられます。

図1-1

大脳新皮質は、思考や判断といった、私たちがよりよく生きるための「知性」に関することを司っています。大脳辺縁系は、意欲や情緒といった、私たちの本能に近い、「感情」に関することを司っています。脳と脊髄を結ぶ脳幹は、「生命維持」に関することを司っています。

大脳辺縁系の中でも、特に私たちの感情を大きく左右するのが、図1-2に記載されている扁桃体と側坐核です。扁桃体は好き・嫌いといった感情を司る神経群で、特に不安を感じた際には交感神経の活動を高め、ノルアドレナリンを分泌する機能を担っています。側坐核は快感を司る神経群で、特に、報酬への期待を感じた時には大量にドーパミンを分泌する機能を担っています。

図1-2

この偏桃体や側坐核は、動物が本来持っている生きるために必要なエネルギーの元となるものの、いきすぎると、ストレスに衝動的に反応したり、様々な生活習慣病になったりします。脳神経外科医の先生曰く、現代の日本人の脳の使い方は扁桃体や側坐核に偏っており、脳をマインドフルな状態にすることで、小脳や視床下部を通じて日常的にコントロールできる状態を作ることが幸福に生きるために必要なことだそうです。

人間の体において司令塔の役割を担っていながら、まだまだ謎の多い領域である脳。引き続き、研究を進めていきたいと思います。

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